レター No.60「一年間お疲れさまでした」(2018年12月24日)

May all your Christmas wishes come true!

一年間お疲れさまでした

◆日頃は矢のように過ぎ去る時間が大晦日にはゆっくり流れる。もし一秒一秒の密度に違いがあるなら、今夜午前0時が迫るにつれて、一秒は次第に重く、濃くなるのではないか。嬉しかったこと、悲しかったこと。日付が変わる瞬間に向かって一年の思いが凝縮する。
◆ニューヨークのカウントダウンには世界中から百万人が集まるという。紙吹雪と歓声が渦巻くタイムズ・スクエアで、一人はらはらと泣く人を見たことがある。質素な身なりのアフリカ系の女性だった。どこの誰かも分からない。ただ時が極限まで凝縮した空間では、他人との心の距離も限りなく縮まるのだと気づいた。
◆日本では除夜の鐘が鳴り始める頃、人々の気持ちが静かに重なり合う。いつもは満員電車で押し合う相手でも、今日は赤の他人とは感じない。一年お疲れさま。お互い頑張 りましたね。よいお年を。ありがとう・・・。人の数が多い都会では実際に言葉にはしないけれど、耳を澄ませば声なき声が街中に響いている。
◆年が明けてしばらくすれば、そんな暦の魔法は解け、人の一体感は薄まっていく。そしてまた世知辛い日常が始まるだろう。ならば、この大晦日の時間は大切に過ごしたい。人への感謝、いたわり、許す優しさ。タンスにしまって忘れかけていた心を取り出し、きちんとたたみ直して、また元に戻す。

 上記文章は、「2012年12月31日の日経新聞・春秋」です。12月31日の私達の心が美しく表されている文章に心が沁み入り、以来毎年年末になると読み返すようになりました。この素敵な文章は私からの“クリスマスプレゼント”です。是非12月31日に読み返してみてください。
  一年間お疲れ様でした。どうぞよいお年をお迎えください。           

LOVE
植田亜津子

〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-32 御成門エクセレントビル8階

03-6435-7721(代)

お問い合わせ