レターNo.121「『陰口』を言われる人ほど、『有能』」(2023年7月1日)

 夏の訪れを伝えてくれる朝顔が、日本に伝来したのは奈良時代だそうです。いにしえの奈良時代に想いをはせ、朝露に濡れてしっとり咲いている青色の朝顔からロマンを感じます。
 「陰口(悪口)」を言われ、傷ついたり、悩んだり、自信消失することがありますが、「陰口(悪口)」や「悪い噂」の大半は、「嫉妬」から出ていることが多いのです。
 「悪口」を言っている本人が、知ってか、知らずか、自分より優れている相手に対しての「嫉妬心(やっかみ)」から、悪い噂を流しているのです。
 確かに、100回指導しても仕事を覚えない人や、100回間違いを繰り返す人に対しては、陰口どころか、正面切って「いったい、どこが分からないのよ!」と、大声で悪態を付きたくなります(パワハラにならない程度に)が、大抵、陰口(悪口)は、自分より有能な人への方が多いものです。

 「陰口(悪口)」を言っている人は、人との「比較」で「自己評価」を高めたいのです。どうしたら効果的な「比較」ができるでしょうか?それは相手の「非難」です。
 自分より下の立場の人を、悪口でおとしめても、自分の位置は上昇しません。例えば、自分の成績が100人中、5番目だとします。その時、90番目や100番目の人が気になりますか?全く気にならないでしょう!脅威にもなりません。もしかして、100番目の人には、大きな心で「本当にドジなんだから~」等と、優しく愛情たっぷりに接することが出来るかもしれません。
 しかし、1番から4番の人に対しては、どうでしょう?・・・・新しい課題や目標が設定された時、自分より上位の人の動きが気になりませんか?そして、彼らを越せない時は、「あの人はガリ勉だから・・」や「あの人の営業テリトリーは恵まれているから・・」等と、周りに言うことで、「あっ、そうか、本当は〇〇さんが一番なんだ」と、認識させて溜飲(りゅういん)を下げます。
 つまり、悪口を言われるということは、あなたが「有能」だという証明なのです。決して落ち込む必要はありません。
 政界を見ていても、大臣就任前は何も言われなかったのに、大臣になったとたんに「不適格だ」「無能だ」と、散々バッシングを受けている人がいます。首相の位置にある人は、野党から「口先だけの改革で何ができる!」等と、非難を浴びています。
 しかし、それで落ち込んでいたら、何もできません。悪口を耳にしたら、「これからもっと頑張ってよい仕事をしよう!」と改善すべき点は改善し、謙虚に、呉々も明るく仕事に取り組んでください。強い光が当たる程、陰は濃いです。それは、融資の利息のようなもので、必ず付いてくるものです。しかし、陰口(悪口)は言われても、言わないほうがいいですね!

 皆さんに質問をします。あなたの友人が成功したり、思いがけない幸運を手にした時、心から祝福ができますか?「おめでとう」と言いながら、どこか素直に喜べないということはありませんか? 何故でしょう? それは、相手が友達だからです。
 その気持ちを心理学の「テッサーのSEM理論」で説明します。SEM(Self-Evaluation Maintenance Model)とは、「自己評価維持」の略です。私達は自分の能力や成績の「評価」を常に気にしています。それは、周りの人との「比較」によって決まります。「自己評価」を高める方法は2つあり、「反射」と「比較」です。
 「反射」とは、「栄光浴(えいこうよく)」の心理です。友人、知人、親戚の名誉や業績や威信の光を借りて自分を光らせる方法です。「私は大谷翔平選手と同郷だ!」「高校の後輩に有名タレント〇〇がいる!」という類の自慢話は、これに属します。自分とは殆ど関係ないのですが、その人の栄光をもらうのです。
 これと対象的なのが「比較」です。自分よりデキのいい友人と、自分を比較できますか?「私の友達は、私より仕事ができる」や「同期の〇〇さんは、私より先に課長になった」等と、人に自慢しないでしょう! なぜなら、「自己評価」が地に落ちますから。
 従って、友人の成功や出世等の栄光は「嫉妬」の対象となり、心から喜べないのです。そこには、必ずと言っていい程、その人に対する陰口(悪口)が付いてきます。「あの人は忖度するから・・、私はそういうこと嫌なのよね・・」「あの人は休み無く働いているのよ・・私はマネできない!」等、といったトーンの内容で、かろうじて自分を保っているのです。因みに、「嫉妬心」は、女性が強いように思われていますが、男性の方が人に勝ちたいという優越意識が強いので、その分、嫉妬心も強烈です。しかも、攻撃的で行動が外に向かいます。

 では、そんな時『どうする、私は』・・・・・・はい! そんな時は、「嫉妬心」をカバーしてしまう位の「栄光浴」が働く行動をとればよいのです。例えば、友人が成功した時は、兎に角、一緒に喜ぶことです。盛大にお祝いをしてあげたり、素敵なお祝いの品をプレゼントするなどして、「いい友人」の役割を全うします。そうすることで、自分自身の行動から、自分自身の中に喜び(幸せ感)を創ることができます。

 実は、職場の人間関係のお悩み相談の約80%が、上記に該当しているのです。
 考え方をしっかりもつことで、ストレス・悩み・苦しみは吹っ飛び、むしろ大きな人間として成長していきます。

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植田亜津子

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