レターNo.120「斧を研ぐ」(2023年6月1日)

 梅雨のシーズンに入りました。インストラクターの皆さんはお変わりなくお過ごしでしょうか? 長雨を思うと少し気が滅入りますが、農作物にとっては恵みの雨、春と夏をつなぐ季節の架け橋、梅雨を楽しみましょう。
 私はレインブーツを買いました。マスクを外して、ピッチピッチ♪チャップチャップ♪ランランラ~ン♪

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 昔々、一人の木こりが、材木屋に仕事をもらいに行きました。申し分のない条件だったので、木こりは仕事を引き受けることにしました。
 最初の日、木こりは親方から斧を一本手渡され、森の一角を割り当てられました。男はやる気満々で森に入り、その日は1日で18本の木を切り倒しました。「よくやった!この調子で頼むぞ!」親方の言葉に励まされた男は、明日はもっと頑張ろうと誓って早めに床に入りました。
 次の日、男は早く起き、森に向かいました。ところが、その日は努力も虚しく15本が精一杯でした。「疲れているのに違いない」。そう考えた木こりは日暮れと共に寝床に入りました。
 夜明けと共に、目を覚ました木こりは「今日は何としても18本の記録を超えるぞ!」と、自分を奮い立たせて床を出ました。ところが、その日は18本どころか、その半分も切り倒せませんでした。次の日は7本、そのまた次の日は5本、そして、最後には夕方になっても2本の木と格闘していました。
 何と言われるかとビクビクしながらも、木こりは親方に正直に報告しました。「これでも力の限りやっているのです。」 親方は彼にこう尋ねました。
 「最後に斧を研いだのはいつだ?」
 木こりは答えました。「斧を研ぐ? 研いでいる時間はありませんでした。何せ、木を切るのに精一杯でした」・・・・・だとさ。
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 ドキッ!としました。私達の日々の仕事を垣間見たようで・・・。親方の質問に対しても、木こりと同じような返答をしてはいませんか?
 私達の「斧」とは?「斧を研ぐ」とは? 何を意味しているでしょう?
皆で、このお話をディスカッションしてみると面白いですね。正解はありません。話し合いながら、人それぞれ、色々な気付きがあるのではないかと思います。

 私の解釈は、「斧を研ぐ」とは、「頭脳を鍛えること」と考えました。「頭脳」は、銀食器と同じで、磨くとピカピカになり、怠るとぼんやり曇っていきます。
 先ず、第一は「健康管理」。健康を良好に保つために、健康診断をしたり、日常の食事に気を付けたり、軽い運動を続けたり等、健康第一であることは誰もが知っています。
 では、「頭脳」を高い水準に保つための「能力管理」はどうでしょう? 学び続けることが大事であることは理屈では分かっていますが、我々ビジネスパーソンは、目先の仕事を熟すだけで精一杯の日々を送っている人が多いのではないでしょうか? 
 だからこそ、どんなに忙しくても、「斧を研ぐ」習慣を身に付けていないと、そのうちに「頭脳」もくたびれていってしまいます。“現状維持は衰退を意味する”と言います。 だったら、どうするビジネスパーソン?!

~「斧研き」とは~
☆-1.仕事をしながら学び、学びながら仕事をする
 先ずは、「仕事」と「学び」を二分法にせず、仕事をしながら学び(経験することで能力を研く)、学びながら仕事(価値と質を上げていく)をするという、混然一体の状態を常に意識している。しかし、これだけでは十分でなく、もう少し高い次元での学びが求められます。

☆-2.外に出て視野を拡げる
 「頭脳を鍛えること」ことは、新しい価値を生み出していくことでもあります。自分から遠く離れた「知」を広く深く探求し、それによって得られた「知」と、既存の知を融合させていく。今働いているフィールド内だけで仕事を続けていると、視野はどうしても狭くなります。外部にインプット・アウトプットの場を求めていくことで、今までに無い新しい着想を得ることができたり、企業内においても「少し違った視点をもっている」というだけで大きな武器になります。
 厳しい環境の中で進歩していくには、私達がもつ常識の枠を取り払わなくてはなりません。VUCA時代は、次に何が起こるか予測困難です。このような時代だからこそ、広い視野をもつことが大切です。職場と自宅を往復するだけでは幅広い視野の獲得はできません。意識的に外に出て、人との交流を積極的にすることが、幅広い知識を習得することにつながります。

☆-3,仕事の自由度(人生の自由度)を上げていく
 「自由」とは選択肢をたくさん持っていることです。自由度は学習量に比例します。学習の方向性としては、“なりたい自己”を広げること→興味や関心の幅を拡げていくこと。“できる自己”を広げること→自分の能力を高めていくこと。
 一つのところで長く仕事をしていると、自分の興味や関心と、能力が重なってきます。重なっている面積が広ければ広いほど、選択肢が多くなり、逆に重なる面積が小さければ小さい程選択肢が小さくなります。「頭脳を鍛えること」とは、自分の専門能力を高めるだけではなく、興味や関心を拡げていくことでもあります。片方だけでは限界がきます。

 リンカーンの名言の1つに、「もし8時間、木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間は私は斧を研ぐのに使うだろう」。・・・・う~ん、難しい。考えさせられますね。
 ダイバーシティ社会は、皆様の活躍の場が広がります。「斧を研く」ことをお互い怠らないようにしましょう!

LOVE
植田亜津子

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