レター No.54「あってはならない経験をしないために、経験を積む」(2018年7月30日)

 西日本を襲った記録的豪雨から一ヶ月が経とうとしています。被災された皆様には、事態の収拾と早期の復旧・復興を祈るばかりです。心より、お見舞い申し上げます。
 また、収拾と復旧にお力を注いでいる最中、それを阻むかのように、記録的な猛暑が続き、気象庁はこの猛暑を「30年に一度の異常気象」と認定しました。
 台風12号(7月28日)は、通常とは逆に東から西へ列島を横断する異例のコースをたどり西日本被災地を含む広い範囲で大雨を降らせました。 

 天気予報で最近、次のような言葉を耳にします。「数十年に一度の大雨」「重大な危険が差し迫っています」「この猛暑は災害です。命に関わる暑さです」「今まで経験したことのない事態が起こるかもしれません」「自分の命は自分で守ってください」等。
 しかし、緊急速報が流れても、経験したことのない事態に対しては、例え、危機が迫っていたとしても俊敏な判断や行動は難しいものです。また、今回のように、豪雨で防災無線が聴き取れなかったり、単独では避難できない高齢者や子供達、警報が夜の場合等は、避難をためらう人もいます。今回の台風に関しては「明るいうちに避難して欲しい」と気象庁は呼びかけていました。

 私達は今、危機管理に対する意識改革が必要です。被災者は勿論、被災されていない方々も、この辛く苦しく、痛い経験を無駄にすることなく、又、自治体に頼るばかりではなく、家族で会社で、勿論、個人でもハザードマップ等を用い、自分に降りかかる危険を普段から想定・認識し、警報や避難勧告の前に自律的に危機管理行動ができるように準備しておく必要があります。

 宇宙飛行士の大西卓哉さんの示唆に富む文章を読みました。『宇宙飛行士の生命を脅かすリスクに対しどう対処するか?「訓練で出来ない事は本番でもできません。本番と同じつもりで、訓練に臨み自分にとことん付加をかけることを意識して、極限状態でセルフマネジメントができるまで訓練したという自負、これこそが、4ヶ月間にも及ぶ国際宇宙ステーションでの任務を遂行する、というプレッシャーに打ち勝てた最大の要因です。技術は人から人に伝承することでしか守れません。安全の文化も人から人に継承されるものです」』

 地球温暖化が進む中で、今回起こった災害(降り続く豪雨・猛暑・異例のコースをたどる台風等)が、これからも(来年も再来年もずっと)あるかもしれません。準備できることは準備し、家族や会社の同僚ともよく話し合っておくことが重要です。
 あってはならない経験をしないために、早い時期(想定の世界)に経験を積みましょう。

LOVE
植田亜津子

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