レター No.31「 和室(畳)のマナー」(2016年11月1日)

 和室(畳)のある家が少なくなりました。日本料理屋さんや旅館等、和室に通されると、ほっとする反面、少しきりっとした緊張感が生まれるのは私だけでしょうか?
 最近は外国の方が、茶道、華道、香道などを通じて、畳での所作、例えば、座り方、歩き方などの振る舞いを学ぶ方々が増えてきたそうです。
 イスでの生活が多くなってきた今、和室での振る舞い方を少し知っているだけで、心に余裕が生まれ、過ごす時間が優雅に流れるのでは・・。
 
 西洋では、外を歩いた靴をそのまま室内でも履いています。絨毯にも、靴を履いたまま上がります。従って日本人の伝統的な畳の感覚と絨毯の感覚は全く異なります。

 茶道の作法(和の心)に従うと、畳でのマナーが理解しやすいです。茶室に入る時は、その前に足袋を履き替えます。道中で履いていた足袋は汚れていますので、履き替えるという現実的な理由であり、自分の足下から清めるという「象徴的」な意味もあります。茶室内は清浄無垢の場所ゆえ、足袋も清浄無垢でなくてはなりません。茶道の道具は畳の上に直接置くものが多く、その代表的な例として茶をすくう、茶杓も畳の上に直接置きます。
 茶道の世界だけではなく、日本では畳の上に直接茶托に載せたお茶や、お皿に載せた御菓子や、お土産品等も差し出します。畳がテーブルの上と同じなのです。お察しの通り、畳の上は常に清潔にしておかなくてはならないのです。
 畳のお掃除の仕方を知っていますか? 畳は朝晩掃き清め(掃除機をかけ)、固く絞った雑巾で拭き清めます。一点の汚れもありません。

 畳に「上がる」時は、茶道の考え方を忘れず、靴下を綺麗にしましょう。わざわざ靴下を履き替えるということではありませんが、自分の家以外は、ナマ足はNGです。畳の上を歩く時は「へり」を踏まないように気を付けましょう。「へり」は畳の縁を包んでいる布であり、畳を補強するための物でもあり、装飾でもあります。装飾であれば、それを踏むべきではありません。当然、その上には座れません。日本間の美の一つに、畳の敷き方もあります。せっかくの美しさは生かしてこそ価値があります。例えば、座布団が置いてあれば、そこに座ってもよいということです。座布団の位置を勝手に動かさないで、イスと同じように考えます。

 また、正式な和室には床の間があります。床の間は、軸を掛けたり、花を生けたり、置物を飾るために使います。その原型は禅道場の祭壇であると言われ、聖なる場所でありますので、床の間に勝手に物を置くことを許されません。敬意をもって、そこに飾られている掛け軸や生け花を鑑賞します。

 紅葉が美しい今、和室から山々を楽しめる時間がとれたら優雅ですね。

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植田亜津子

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