レターNo.88「ファミリークリスマス」(2020年12月24日)

ファミリークリスマス

 Merry Christmas to you.Wish your dreams come true!I believe so.

 寒い毎日ですが、皆様お元気にご活躍のことと存じます。
 早いもので、今日はクリスマスイブ。クリスマスプレゼントとして、心温まる逸話をお届けします。

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(これは1920年代前半、シアトルであった出来事である)
 家計は、深刻な打撃を受けていた。父親の商売は破綻し、求職は殆どゼロ。国中が不況だった。
 その年のクリスマス、我が家にツリーはあったが、プレゼントは無かった。そんな余裕など到底なかった。クリスマスイヴの晩、私達はみな落ち込んだ気分で寝床に入った。
 クリスマスの朝に起きてみると、信じられないことに、ツリーの下にプレゼントの山があった。
 朝ご飯の間、私達は、沸き立つ気持ちを何とか抑えようとしつつ、記録的なスピードで食事を終えた。
 それから大騒ぎが始まった。まず、母がツリーの下へ行った。期待に目を輝かせている私達の前で、包みを開けると、それは何ヶ月か前に母が“無くした”古いショールだっだ。父は柄の壊れた古い斧をもらった。妹には前に履いていた古いスリッパ。弟の一人には、ツギの当たった皺くちゃのズボン。私は、帽子だった(11月に食堂に忘れてきたと思っていた帽子である)。
 そうした忘れ去られていた一つひとつの品が、私たちの目の前に輝いて戻って来ていることが、新鮮な驚きだっだ。そのうちに、皆が笑い出し、あまりゲラゲラ笑うものだから、次のプレゼントの紐を解くこともできないありさまだった。
 これらの気前よきステキな感動の贈り物は一体どこから来たのか?
 それは、弟のモリスの仕業だった。何ヶ月もの間、無くなっても騒がれそうもない品物をモリスはコツコツ隠してきたのだ。そしてクリスマスイヴに、皆が寝てから、品物をプレゼントとしてこっそり包み、ツリーの下に置いたのである。

 この年のクリスマスが、我が家の最良のクリスマスの一つとして、私は、記憶している。

ドン・グレーヴズ
アラスカ州アンカレッジ

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 この心温まる逸話は、1920年代前半のことですので、和暦では大正9年~13年頃でしょうか? このお話の素晴らしいところは、Negative Visualization(ネガティヴ ヴィジュアリゼーション「NV」)という、ローマの哲学者に学ぶ、生き方が入っています。
 「NV」とは、“今、自分が大切にしているものを失ったら”、と悪い事態を想像することで、“今の自分は幸福である”ということを確認するテクニックです。

 私達は、今持ってないものを欲し、手に入らないことにため息をつく、理想を追求し、現実に不平不満を漏らすことが多々あります。時々でよいのです、既に自分が所有している様々なもの(健康・家族・友人・仕事・キャリア・知識・物質等、)に目を向け、それが無くなってしまったら、どれだけ辛いか、大変かを想像し、現在所有しているものに感謝の気持ちをもちましょう。病気になった時、健康の有り難さが身に染みるように、人は失わないと、そのものの価値や有り難みに気付かないものです。無いものではなく、今あるものに目を向けましょう。
 「ありがとう」というのは「有り難い=有ることが難しい」ということです。

With love, thankful and respect.
植田亜津子

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