先日、R研究所に行ってきました。正門を入ると、かすかに甘く優しい香りが漂っていました。金木犀です。「もう、金木犀の時期か・・」季節を感じた瞬間でした。研究所の広い敷地内には沢山の木々が植えられており、4月は桜並木がトンネルをつくり、12月は銀杏の葉が金色のジュータンと化します。仕事前に、季節を感じながらの一時の散策は心をリラックスさせてくれます。
今回は「伝わる話し方」についてレターをお送り致します。
ある調査で、働く人1000人を対象に、どんなビジネススキルに悩んでいるかを聞いたところ、最も回答が多かったのが「話し方」でした。男女全世代の1位です。参考のために、2位~10位の間には「ホウ・レン・ソウ」「クレーム対応」「プレゼンテーション」「リーダーシップ」「部下指導」等があり「ビジネスマナー」は10位でした。
年功序列が崩れ、年上の部下ができたり、女性管理者が増えるなど、職場の勢力図が変化している中、適切な話し方や、ものの伝え方に迷う人が増えるのは当然なことです。加えて、SNSの進展は、日常的な直接(対面)コミュニケーションまでもが、心的負荷のかからない間接的コミュニケーションに流れを変え、それらが原因で様々な問題が起きてきている現実を、私達は受け止めなくてはなりません。
確かに、研修の中でもダラダラした支離滅裂な話し方をする人、質問に対する答えの意図が掴めない話し方をする人、単語の羅列で話す人が多くなってきています。
仕事上のコミュニケーションを大きく左右するのは「話し方」です。上司へのホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)や、部下への指示、セールスやプレゼンテーション、クレーム対応等、様々な場面で「伝え方」が試されています。なぜなら、それが結果(成果)やモチベーションに直結するからです。
そこに力を貸してくれるテクニックがあるのです。「PREP(プレップ)法」です。筋の通った分かり易い話し方は、「PREP(プレップ)法」のフレーズを活用することで可能になります。
「PREP法」はビジネスのあらゆるシーンで活用できる文章構成法であり、簡潔かつ説得力のある文章を作成する際にも用いられます。
☆P (Point/結論) ☆R (Reason/理由) ☆E (Example/事例、具体例)☆P (Point/結論を繰り返す)の頭文字をとって「PREP法(プレップ法)」と言います。最初に結論を伝え、その次に理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示して、ストーリーを展開します。
上記のように、「PREP法」の一番の特徴は最初に結論を述べることです。これは、聞き手側の集中力が最も高いのが、開始直後の30秒程度であることから、強調したい事柄を最初に話し、強く印象付けることで説得力のある文章やプレゼンテーションを構成することが出来るからです。また、冒頭に結論、つまり、要点を持ってくることにより、何についての文章なのか、プレゼンテーションなのかを聞き手側が把握し易くなります。また冒頭で、内容をイメージ出来るかどうかで、その後の内容の理解度も変わってきます。
加えて、忙しいビジネスシーンでは、結論を先に求められる場合が多いことからも、
仕事の質的向上と効率化がこれまで以上に求められる今、「PREP法」のテクニックは、ビジネスパーソンの必須スキルといえるでしょう。
「PREP法」で論理的に話してみましょう
会話例 | 「PREP法」の話し方になるフレーズ | |
P (Point) 結論 事実、要点 | 「結論から申し上げますと | ・結論から申し上げますと ・私は○○だと思います ・私がここで申し上げたいことは ・一番大事なことは |
R(Reason) 理由 解釈、考え | 「なぜなら、リスクが大きいからです」
| ・なぜなら ・その理由は ・なぜかと申しますと ・というのも |
E(Example) 根拠 事例、事実 | 「例えば、他社は似たよう | ・例えば ・具体的に申しますと ・例を挙げますと |
P(Point) まとめ 結論の再確認 | 「よって、実施する場合は 更なる調査、検討が必要 です」 | ・よって ・以上のようなことから ・繰り返しになりますが ・いろいろ話しましたが |
以上のように「PREP(プレップ)法」は、指導時のレッスンプランづくりや面接時にも役立ちます。シンプルに要点を分かり易く伝えることが求められる今、使えるようになりたいスキルです。しかし、使う場面は選びましょう。
「PREP(プレップ)法」で、私達のコミュニケーション力のアップデートを図りましょう。
LOVE
植田亜津子