レター No.70「夜はゆっくり読書」(2019年9月1日)

 9月は陰暦(旧暦)で長月(ながつき)。夜がだんだんと長くなる「夜長月」が語源とされています。夏の暑さも和らぎ、夜は耳を澄ますと虫の音も聞こえ、久々にゆっくりと読書でもという気分の季節に入りました。
 皆様は読書はお好きですか?
「はい」と応えられた方、なぜ読書をなさるのですか?
「そんなの理由なんかないわよ!好きだから読むのよ!」・・・そうですね。
 
 読書の効用は、例えば、知識・情報・視野を広げるため、脳トレで脳を活性化する、ストレスの解消等・・色々ありますが、私が昔から読書が好きな理由は、“「本」=著者の言葉=著者の人格”と考えていますので、読書とは「偉大なる他者(著者)に触れる行為」なのです。だから読書の時間は、貴重で楽しいのです。
 例えば、聖書を開けば、イエス・キリストの人格に触れることができ、「論語」をぱらぱらめくれば、孔子の人格に触れるのです。それが小説でも、思想でも、数ページ読む(触れる)だけで、「偉大なる他者」の片鱗に触れられるのです。何とステキなことでしょう。
 自分自身の器を大きくしたければ、意図して偉大なるものに触れなければ、器が大きくなることはありません。よって読書は、“自分を大きくするためのトレーニング”であります。読書の時間は、尊く至福の時です。

 「今日一日どのような人と交流しましたか?」と質問されたら「職場の部長と課長と部下2人」では、少し世界が狭く感じます。そこで、朝、電車の中で、数ページでも本を読んでいれば、「会社の部長と課長と部下3人と、芥川龍之介です(笑)」となれば、自分自身の人間の幅を広げる時間を朝の満員電車の中で持ったいうことになります。
 移動中の乗り物の中や、カフェでモーニングコーヒーを飲みながら、眠る前のひととき、等、僅かな時間に、僅かなページを読むだけでも、“違う時空”に紛れ込むことができ、その時間が心を和らげ気持ちを豊かにしてくれます。

 星空を見上げて宇宙を感じ、山々を見ながら、季節の匂いを感じ取るといったように、常に偉大なものと触れ合いたいものです。そんな時、本を読むことで手軽に知的な「偉大なる他者」に出会えます。「今日はピ-ター・ドラッカーに出会おう」「今日は何となく世阿弥かな?」「ビートたけしさんにも会いたい」という具合に本を選び、パラパラめくります。

 最近は耳読書といって、プロのナレーターや声優が朗読するオーディオブックというサービスが普及しているそうです。小説は、まるでその場にいるかのように臨場感たっぷりに有名俳優が読み上げ、ビジネス書はツルット理解し易いようにアナウンサーが読んでくれるのです。でもやっぱり、偉大なる他者との対面に第三者に介入されたくはありません。自分のテンポ・自分のリズムで色々な思いを感じとっていきたいです。

 皆さんは誰に会いたいですか?その方の著書があるといいですね。
 今月初めて出会う予定をしている“偉大なる他者”は、芥川賞をとった今村夏子さん、直木賞をとった大島真寿美さん、癒やしを求め、久々にL.M.モンゴメリーさんにもお会いしたいと考えています。
“偉大なる他者”にお会いするのに予約の必要性はありません。身だしなみや言葉遣いにも気を遣うこともありません。今ここで自分のペースで出会えます。
 今から早速デートです。ワクワク、ドキドキしています。

LOVE
植田亜津子

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