レター No.67「新たなジョウシキ」(2019年6月1日)

 梅雨入り前なのに、各地で記録的な暑さが続いています。
 8年程前は、6月1日が衣替えの日で、学校や職場の制服が夏服へと一斉に替わり、電車の中も職場も街全体がパーッと明るくなり、それだけで気持ちが軽やかになったものです。気温に合わせた服装を自由に選ぶようになった合理的な今より、「6月1日」を迎える高揚感がありました。生活にもメリハリがあったように思います。
 環境省が提示しているクールビズ期間は、毎年5月~10月(推奨時期であり、それに従う義務はない)です。地球温暖化が進んでいます。
 頑張り屋の皆さん、「熱中症」にかからないように呉々も気を付けてください。

 昨日、携帯電話に、『これからお電話しても宜しいですか?』とメールが入りました。最近この様なメールを若者から受け取ることが多くなりました。その度に「ハイ、どうぞ!」と返信したり、即、こちらから『いきなり電話』をする時もあります。
 私の心の声は、「そんなに気を遣わないでよいのに!」であったり、「何と面倒な、直接電話してくれれば直ぐ済むのに!(イラッ!)」皆さんはいかがですか?
 そういえば、新人研修時に、受講者から「『いきなり電話』をしてもいいのですか?」の質問がありました。
 『いきなり電話』とは、電話をかける前に、事前にメールで「電話してもいいですか?」と了解を取ることなしに、電話をかける行為を『いきなり電話』といい、彼らにとってはマナー違反なのです。確かに、スマホ世代は、相手に電話をかけることに、必要以上に気を遣っているように感じます。『いきなり電話』気遣いは、1億7千万台を超える“モバイル電話対応”の「新常識」になっているそうです。
 最近は挨拶状や礼状、年賀状もメールで届きます。そういえば、友人の個展の招待状もメールでした。かつては失礼とされていた行為のはずでしたが・・・!? 考えてみれば、出す方も受け取る方もカジュアルですね。

 研修時に人事担当の方から、「『ペットボトルでのお茶の出し方』は?」と思わぬ質問を受け、ちょっとビックリしました。私自身は、企業訪問時に、ペットボトルで飲み物を出して頂いても何の抵抗感もありませんが、自分がお客さまに出すとなると、TPOを考えます。
 確かに当社でも、季節に関係なく、会議やセミナー等の時は、ペットボトルのお茶を用意します。事前に書類等と一緒にセットできますので効率的ですが、特定のお客さまに、ペットボトルのままでお茶をお出しするとなると、少し心遣いが必要でしょう。例えば、夏は冷たいものを、冬は暖かいものを、また紙コップやペーパーナプキンを付ける等の配慮と、「ペットボトルで失礼します」と笑顔の一言を添えることで、事務的な対応に“おもてなし感”が伝わります。
 ペットボトルの場合は、頂く側のマナーも大切です。飲み残しや、空のペットボトルをそのまま置いて帰らないことです。「お茶が残っておりますので頂戴いたします」等、一言断りを入れ、ペットボトルを持ち帰ります。後片付けする方も助かります。

 出勤時ビジネスパーソンが、スーツ姿にバックパック(リュック)、靴はスニーカー、手にはカフェのコーヒーをもち、颯爽と歩いている姿を、ここ7~8年前位から普通に見かけています。最初の頃はスーツにリュック?スーツにスニーカー?歩きながら飲む、食べる?・・・と違和感がありましたが、最近では「ニューヨーカーみたい!ここマンハッタン?」と思っています。

 本レターを書いている今、当社の若手スタッフが、「スタバの近くに行きましたので・・・」と、スターバックスのアイスコーヒーとドーナッツを買ってきてくれました。
 当社には、コーヒーメーカーも、自動販売機も備えてありますが、近くに行ったとはいえ、わざわざスターバックスの「価値」を届けてくれたのです。スタッフの心遣いに感謝・感激。 
 今、私は会社のコーヒーメーカーのコーヒーではなく、自動販売機のコーヒーでもない、スタバの薫り高いアイスコーヒーをストローで飲み、ドーナッツを食べながら、お仕事をしています。ちょっと絵になりませんか?!
 

 「常識」や「価値観」は時代の変化の中でどんどん変わっていきます。しかし、根底(分母)には「相手に対する配慮」とTPO、そして、気持ちや思いを伝える言語表現力や柔軟で闊達な会話力、インプロ力(※)、が一層求められてきます。これが“令和なジョウシキ”、AI時代のコミュニケーション力です。

※インプロ力:Improvisation(インプロヴィゼーション=即興)の略。台本にはないアドリブのこと。状況に応じて即興できる能力。

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植田亜津子

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