レター No.64「大人の身だしなみの起点」(2019年4月1日)

 平成31年4月1日、いよいよ新年度がスタートしました。企業・職場は、自分の可能性を最大限に広げてくれる場所です。新たな気持ちで精一杯能力発揮をしましょう。

 さて、今日も電車の中や駅等で、黒のリクルートスーツに身を包み、緊張感漂うビジネスパーソンがたくさん目につきました。全員新人ですね。心の中で「新人ガンバレ、へこたれるな!」と応援メッセージを送ると共に、背中をポンと叩きたくなります。

 このように、新人に限らず外見で「この人の職業は?」「この人の立場は?」と大体推測できます。シェークスピアは、著書“ハムレット”の中で、自分の息子に対し、「身だしなみは人格を宣言する」と身だしなみの重要性を指導しています。今から約500年前です。日本で言えば戦国時代?そんな昔から、外見の重要性を説いています。また、私の尊敬する稲森和夫さんは、「外見とは一番外側にある中味である」とおっしゃってます。

 新人研修では勿論、接遇研修やビジネスマナー研修の中には、必須科目である「ビジネスパーソンの身だしなみ」が含まれています。「身だしなみ」のテーマは、簡単に指導すれば流れてしまう、厳し過ぎると個性がなくなる、また、軽んずればその人のキャリアに影響を及ぼす等、奥の深いテーマです。インストラクターは、身だしなみの重要性をしっかり伝えましょう。

 私自身、身だしなみで何回か失敗しています。一番の思い出は入社2年目、先輩からの注意でした。私が20代に働いていた会社は、当時としては珍しく制服の無い会社でした。現在のようにリクルートスーツもありませんので、身だしなみは、先輩方を参考に自分なりの気遣いで整えていたつもりでした。ある日、上司から「明日、部長会議に入って、議事録を作成するように」と指示がありました。私はいつもより身だしなみに気を遣い、(スカートとブラウスとカーディガン<どちらかと言うと可愛い目>)で出勤しました。職場に入るなり、先輩が飛んで来て、「植田さん、今日は部長会議でしょ、そんなお買い物に行くような格好ではダメ!」と注意を受けました。その時はその意味がわからず、当惑しました。先輩が、ご自分の紺ジャケットを貸してくださり、そのジャケットを着て会議に出席し、無事に議事録作成ができた、という話ですが、とても衝撃的な経験でした。会議の場所は、重々しく、その場の雰囲気に可愛い目のレースのブラウスとスカート姿が似合うはずがありません。大体、知性が感じられません。身だしなみは相手に対する敬意表現であり、そのチームの一員としての責任を果たす上で大切なものであることに気づいた時、注意をして下さった先輩に対する心からの感謝と敬意と共に、仕事に対する自分の甘さに腹が立ちました。この経験は今でも、私の身だしなみの指針になっています。

 業種・業態に関係なく、身だしなみの基準を「好き」「楽」「自分らしい」で整えるのは学生時代だけです。ビジネス・仕事のシーンでの装いは、ヘアスタイル(カラー)も含め、その人のプロ意識や意気込みをはっきり伝えられるコーディネートをしなくてはなりません。

 まずは、企業に身だしなみルールがあるのならそれを守り、その上で、一緒に働く人たちとの服装の「調和」です。例えば、ダークスーツの男性と一緒に仕事をするのなら、女性もそれに合わせ、スーツ姿になります。そこに、女性ならではの柔らかさ(色使い、インナーのデザイン等)を表現するのは、その人の腕です。それでこそ、男性と対等になれるのです。
 簡単ですね。大人のビジネスパーソンの身だしなみの起点は、自分ではなく、あくまでも他者。奥が深いです。だから楽しい!
 輝け、ビジネスパーソン!

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植田亜津子

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