レター No.59「特別から日常へ」(2018年12月1日)

 12月は陰暦で、師走(しわす)、朧月(ろうげつ)、極月(ごくげつ)とも言われています。どの言葉も一年の終わりの月を意味し、新しい年を佳き年とするために、12月中にやるべきことをする、という意味合いが含まれています。

 確かに、12月に入ると私の場合、今まで怠けていた付けが全て回ってきて、年末までに終わらせなくてはならない仕事(課題)が溢れ出ます。急に気持ちが慌ただしくなりますが、私だけでしょうか? クリスマスの準備や大掃除等も含め、計画的に課題解決をしないと、年越しそばを楽しめません。
 さて、たくさんある仕事の一つが、新年の準備です。我が家で言えば、お正月用の漆器を出すことです。お屠蘇器やおせち料理の重箱、お雑煮椀等です。これらはお正月の時しか使かわず、常は仕舞われています。どこの家でもあることですね。例えば、お客様用のちょっと高価なタオルやコーヒーカップ、特別の時にしか着ない洋服や真珠のネックレス、お客様用のお茶や紅茶も同じです。
 このように、特別な物や、大切にとってある物は、普段使いの物と比べると高価で綺麗、使うのがもったいないと思いつい仕舞い込んでしまいます。しかし、使わない方がもっともったいないですね。この際、今まで大切に仕舞ってあった物(お宝等)を、特別な場面から思い切って日常の場面にデビューさせたらどうでしょう?!

 日々慌ただしく、事務的に流れてしまう時間に、特別の物があれば、所作が丁寧になったり、無視していた物にも目が行くようになり、気持ちにゆとりが出ます。
 例えば、お味噌汁をお正月用の塗りのお椀で頂いたり、今までマグカップで飲んでいたコーヒーを、仕舞ってあった高級ブランドのカップで楽しんだり、よれよれになったタオルをお客様用のタオルに替えたり、お出かけ用の綺麗なハンカチを会社用のハンドバックに入れたり、セーターに真珠のネックレスをつけたり・・等、普段の生活に美が持ち込まれますと、流れていく時間が豊かになり、生活に付加価値が付きます。またそういうことが、薄れていく日本の伝統や文化を守り育てていくことにも役立ちます。何より、感性を磨くことに繋るのではないかと思います。
 12月は大掃除をしながら、仕舞われていた大切なものを思い切って日常にひっぱり出してみませんか?物も人と一緒、表に出て役割を果たす事ができれば、生きがいを感じるでしょう!

 さて、12月は忙しさに加えて、寒さも厳しくなりますので、温かい食事をとり、身も心もポカポカにし、寒さに負けないようお過ごしください。

LOVE
植田亜津子

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