レターNo.105「新たなわたしへ」(2022年4月1日)

 新年度が始まりましたが、2年以上にもわたるコロナ禍とそれに伴う経済不況、ウクライナ情勢等、複雑な気持ちをもちながらのスタートです。
 インストラクターの皆様におかれましては、企業の一大イベントである「新人研修」のご担当お疲れ様です。希望に満ちた新人のヤルキの芽を上手に育ててください。
 さて、“卒業”は学生だけではありません。気になる私達の習慣化したクセや生き方の卒業もあります。例えば、スマホ依存を卒業、お酒を卒業、甘い物を卒業・・等、新年度を機に、“新しい未来の自分づくり”に向けて行動変容を始めませんか?

 ところで、私達は日常において、だいたい次の4つのどれかに追われながら仕事をしています。
    ①緊急なことだけど重要でないこと
    ②緊急かつ重要なこと
    ③緊急ではないが重要なこと
    ④緊急でも重要でもないこと
 この4つの中で、どれが一番大切なことでしょうか? 
 恐らく、普通は②の「緊急かつ重要なこと」でしょう!・・・ 実は、この4つは私達にとってどれも大切なことなのです。

 こんな話があります。
 あるビジネスマンが仕事で南の島へ行きました。すると椰子の木陰で一人の若者がハンモックに揺られてウトウトしています。
 ビジネスマンは言いました。「君! 君のような若者が昼間からハンモックに揺られて怠けていてはダメじゃないか。もっと、仕事や勉強を頑張らなければ!」と。
 若者は尋ねました。「仕事を頑張ると何かいいことがありますか?」→「それは君、頑張れば出世してお金もたくさん貯まるから、よいでしょう」
 若者はまた尋ねました。「出世してお金がたくさん貯まったら何かいいことがありますか?」→「それは君、お金持ちになったら引退した後、南の国にでも行って、仕事をせずにのんびりと暮らせるだろう!」
 若者が笑って答えました。「それなら、何ものんびり暮らすためにそんなに苦労する必要はありません。もう既に、のんびりと楽しい暮らしを手に入れていますから」
 これにはビジネスマンも何と答えてよいか分かりませんでした。

 私達は、日々、時間に追われながら、生活をしています。更に、この仕事は「私でなければ!」「私しかできない」等と、勝手に思い込んでもいます・・・。
 本当にそうでしょうか?!
 私が以前、研修を担当させて頂いていた企業のお話です。その企業では、管理職を仕事をから切り離し、徹底的に「自己を見つめさせる」という研修を行っています。約3週間、仕事から完全に離れます。・・・・・・・・・・・ここまでの話で、「エッ!3週間!職場は大丈夫かしら!」「ワ~、勇気あるな~」等と、思われた方がいらっしゃるのでは?!・・・・本当にその通りで、対象となる管理職からは猛烈な反発が出ます。
 「本社は何を考えているんだ!私達がどれだけ忙しく重要な仕事をこなしているか、全く理解していない。私達が離れたら仕事が回らなくなることが分からないのか!」等と。
 しかし、本社はいかなる管理者からの文句も聞かず、この研修を実施します。初めはブーブー文句を言っていた管理者達も観念し、徐々に意識も仕事から離れ、語学の勉強をしたり、陶芸をしたり、音楽を楽しんだり等をしながら自分を見つめていきます。すると、次第に今まで如何に自分が仕事に追い立てられ、自己を見失っていたかに気付き始めるのです。研修のねらいは未だ未だ先に・・・・。
 研修を終えた管理者は、ハラハラドキドキしながら自分の部署に戻った時、大きな衝撃を受けます。自分無しでは仕事が回らないと思っていた部署が、むしろ自分がいた時よりも順調に動き、「駄目だ」と思っていた部下が生き生きと仕事をしている姿を目の当りにし、「いったい私は今まで何をしてきたのだ」というアイデンティティー・クライシスが起こるのです。
 この仕事は「私でなくては・・・」、職場に「私がいなくては・・・」という自負心をもつことはそれなりに、意味がありますが、果たして?!もしかして?!、自分自身の思い込みであったかもしれない?! 今まで、「緊急」「重要」ととらえてきた仕事も、誰もがこなせる日常の仕事であった!
 この研修の目的は、本来の自身の仕事に目覚めさせるというものです。奥の深い素晴らしい研修です。この企業の新卒者10年間の離職率は約15%です。因みに私の知る大手商社の新卒者10年間の離職率は約30%です。今一般的に言われているのが、新卒者3年で30%の離職率、考えさせられます。
 もう一つ、気を付けたい、「雑時」と呼ばれる「エセ緊急時」に追われると、実は自分にとって一番「重要なこと」を後回ししてしまう傾向があります。
 心の中で「〇〇しなければ」「〇〇〇したいな」と思っていることは、意識的に時間をつくり、やりましょう。それは直ぐに人生をバラ色に変える効果はないかもしれませんが、先々、危機を助けられることに繫がったり、人生に彩りを添えてくれるエッセンスになるかもしれません。

 2022年度スタートに当り、日常の仕事の取り組みグセの見直しをしてみましょう。まず、「緊急ではないが、重要なこと」の探求から・・・。

LOVE
植田亜津子

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